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いつもと違う真一の怒りように

のだめは俯いたまま

何も言えないでいた

そして涙があふれそうなのを

必死に耐えていた

「どうしたら、お前は俺を信用してくれるんだ?」

小さな声で真一がつぶやく

その言葉にはっとして

のだめは顔を上げた

見た事もない真一の表情

「・・・・ごめんなさい・・・・」

それしか言えなかった


信用してないわけではない

ただ

どうしても忘れられない

真一が悪くないことも分かっていた

けど、責めずにはいられなかった

そうしないと自分がたもてなかった

「帰ろう・・・」

そういいのだめの荷物を持ち

腰に手をあてた

無言で涙を流しながらのだめは小さくうなずき

タクシーに乗り込んだ

真一が行き先を告げ

タクシーは走り出す

三善の家まで二人は無言のままだった

ただ手だけは強く繋がれていた



家に着くと

征子が心配そうに二人を迎え入れた

のだめは疲れたのか眠ってしまっていて

真一の腕の中で寝息をたてていた
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