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外に出たときには

もうすでにのだめの姿はなく

真一は急いでのだめの

携帯に電話をしたが

コール音が鳴り響き

留守電につながる

一度電話を切り

りダイヤルすると

『この番号からの電話はお受けできません』

とガイダンスが流れた

「くそ!恵のやつ!!!」

そう言いながら

真一はあわてて

のだめの実家に電話をかけた


『千秋くん?』

嬉しそうな声で出たのは

のだめの母ヨーコだった

「あ、お義母さんこんにちは」

『どうしたと?
 えらい、あわてて』

「恵がそっちに向かってるかもしれないんで、もし戻ったら連絡くれますか?」

『恵が?』

「はい。すいませんがよろしくお願いします」


『あ!千秋くん・・・・・』


と電話の声を無視して切り

足早に歩き出す

のだめの行きそうな所を探しながら・・・

そして

真一が家の近くの坂を足早に登っていると

その横をのだめの乗ったタクシーが

すりぬけた

「くっそ!」

登ってきた坂道を駆け下り

大通りでタクシーを止め

少し前を走るのだめの乗る車を追いかけた

車の行く先を見ると

どうも羽田に向かっているらしい

「やっぱり、あいつ大川に帰るつもりか?」


羽田空港でやっと追いつき

タクシーを飛び降り

背後からのだめに近づき

荷物を下ろしている最中の

のだめの荷物を持った

「・・・・・・」

バツが悪そうにのだめは

真一の顔を見るとうつむき

真一から荷物を取り返そうとするが

とうていかなわない

「恵・・・・」

「なんの用デスか?」

「帰ろう?」

「のだめは今から大川に帰るんデス。
 真一くんとは離婚デス。」

「お前そんな軽々しく離婚なんて言うな!!!」

さっきまで静かに
のだめをなだめようとしていた真一が
大きな声でのだめを怒鳴りつけた
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