「先輩と一緒にいたいです」
あぁやっぱり・・・・・・
最初からわかっていたさ
恵ちゃんが千秋くんを選ぶことぐらい
でも
恵ちゃんの優しい嘘が
期待を持たせてしまったんだ
『先輩も黒木君も、のだめ好きですよ』
その言葉が
千秋くんへの思いは
同じ好きでもLOVEで
僕のことはLIKEだって事ぐらい
最初からわかっていたのに
恵ちゃんが人差し指で触れた唇
その指が忘れれられなかったんだ
だってあの時だけは
LIKEではなくLOVEになっていたから
「ありがとう選んでくれて」
すぐそこにいる二人の言葉が
僕には凄く遠くに感じる
あの二人との距離は
きっと変わらない
いつまでたっても近いようで遠い
「僕・・・帰るね」
そう言い立ち上がると恵ちゃんは
「先輩・・・・もう一度ちゃんと黒木君とお話だけさせてくだサイ
先輩と一緒にいたいという答えは変わりませんが・・・・・・
のだめ黒木君ともう一度ちゃんと話したいんデス・・・・・・
黒木君?ダメですか?」
もうこれ以上僕に優しくなんてしないでほしいのに・・・・・・
「いいよ・・・・」
「先輩外に行っててください・・・・」
そう言われ千秋くんはドアの外へと出た
恵ちゃんの側に行く
すると恵ちゃんは僕の手を握りしめ
「黒木君ごめんなさい。
のだめは黒木君の事も好きデスよ。
本当にあの時は・・・・黒木君の事
先輩と同じくらい・・・うんん
先輩以上に好きデシタ。
けど・・・・・やっぱり一番はせんぱいなんデス。
でも本当にあの時の気持ちにウソはありませんカラ。
これだけは、信じてください」
「うん」
そういうと恵ちゃんは
僕の顔にそっと手をあて
そっと唇を近づけ
僕の唇にキスをした
舌を絡め
少し呼吸を荒くさせながら
泣いているのが分かった
唇が離れ恵ちゃんはうつむく
僕は涙を指でぬぐい
目元へキスをする
「結婚式には呼んでね・・・・・
じゃ・・・・・・」
そう言い
片手だけ繋がれていた指が
静かに離れていく
この指が解ければ
もう僕達は終わりだ
凄く短い時間だったけど
一生分の思いを使ったんじゃないかと思う
指は完全に解かれ
僕は病室を後にした
恵ちゃんの
すすり泣く声だけが
響いていた
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