のだめの服を脱がせると

そこには俺のつけた痕とは違う物が

体中にあった

その痕が現実を見せつける

「行って来い」

そう言いバスルームに押し込める

部屋に戻りピアノの前に座る


ベートーベンピアノソナタOP57-3楽章

ヘ短調。熱情の奔流と呼ぶにふさわしい旋律が吹き荒れるこの曲

今の俺は熱情と言うより

嫉妬心の方が強いが

プレストに加速して激情の中で全曲を終えるこの曲が

今の心にピッタリとくる


弾き終えバスルームの方を見ると

ぼーっとのだめが立っている

下着の上に俺のシャツをはおり

髪からはしずくが垂れている

スッとイスから立ち上がり

のだめの持っているバスタオルをとり

無言でのだめの髪をふく

「・・・どうして何も言わないデスか?」

「・・・・・・・・・・・・・」

「どうしてのだめを責めないんデスか?」

「攻めたらお前は満足なのか?」

「・・・・・少しは救われマス。

 何で・・・何も言わないの?」

そう言い泣き崩れる

「とりあえず落ちつけ」

そう言いソファーに座らせると

のだめは俺に抱きつき

「先輩抱いて下サイ。」

「え?」

「まだ、黒木君の感覚が残ってるんデス。

 お願い・・・・・します・・・・・。」


そう言い俺にキスをした


さっきまで黒木君とキスしていた唇


それがいま俺の唇と重なる


それはのだめの唇なのに

そうじゃないような感覚


そして


それに嫉妬のような


心の中が真っ黒になっていくような


今まで味わったことのない感情に

戸惑いを覚えた


真っ白になっていく頭の中



のだめをソファーに押し付けた



舌を絡め息もできないようなキスをする

苦しそうなのだめ

息つぎのように唇が離れ


その瞬間ふと我に帰る


そしてのだめから体を離す


「ごめん・・・・・

 今日は抱けない・・・・」


「ドシテデスか?」


「今感情のまま抱いたら、お前をもっと傷つける。

 きっと、その時点で俺はお前と一緒にいられなくなるから・・・・・」


そう言うと俺はのだめを抱き上げベッドルームへと移動した

そしてのだめを奥に寝かせ

自分も隣に寝転ぶ


腕枕をしのだめを抱きよせ


「今日はこのまま寝よう。」



そう言うと

のだめはすすり泣きながら


「ごめんなさい・・・・・

 真一くん・・・ありがとうございます。」


そう言いしばらくすると安心したのか


小さな寝息をたて始めた



















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