温かい光によって目が覚める

いつのまにか寝てしまっていた

月明かりだけだった部屋に

日が差し込む

私の上に掛けられたタオルケット

「智くん?」

テーブルの上に置けれたパン

その隣にはメモで

『朝ごはん』

とだけ書かれていた

そのパンを持ち

階段を上がる

昨夜智くんが入って行った部屋の

ドアノブを回す

するとカギなどはかかっていなく

ドアは開いた

白いカーテンがなびく下にあるベッドで

静かに智くんは寝息を立てていた

「よかった・・・・」

思わず声に出る

もしかしたら死んでいるかも

なんて思ってしまっていたから


ベッドの下に座り

智くんのやわらかい栗色の髪をなでる


それに気づきうっすらと目が開く

「恵・・・・・・・・」

そう言うとまだ夢うつつな智くんは

私の手を取り

「愛してるよ・・・・・・」

そう言いまた眠りにつく

強く握られた手の温かさ

これが本来の彼の姿


昨日やこの間の智くんは

悲しみから作られたものだと

改めて感じた


「のだめは智くんの為に何ができますか?

 もう傷つけたくないんです・・・・・」

そう握られた手に語りかける

答えなどないのに

きっと一緒にいても

彼を傷つけてしまう


離れても


「のだめと会わなければ・・・・・・

 きっと幸せだったのに・・・・・・・・」


そう言った自分の言葉に傷つく

智くんとはもう一緒に入れない

けど

一緒に過ごした時間は

私にとってかけがえのないものだった


私を救ってくれた人

そっと智くんの唇にキスをする


すると再び智くんの目が開く

私の顔に手が伸び

優しく頬をなでられ

手で包まれる

そしてまた唇に触れる


これは最後の儀式

別れの為の・・・・・・・・・





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