気持ちのいい目覚めのはずだった

彼が日本に戻ってくる前のような朝

恵のキスで起こされる

彼さえ帰ってこなければ

ずっと続いたはずなのに

そう思いながら

ベッドから体を起こす

そして

恵を抱き寄せキスをした




お互いを求め合うように舌をからめる

そしてゆっくりと唇が離れ

目が合う



「のだめはもう誰のものにもなりません」



彼女はまっすぐに俺の目を見てそう言った

「智くんのものにも、先輩のものにも

 智くんの言うと通りです。

 のだめに幸せになれる権利なんかないんですよ」

そう言い俺の手を握り

「ごめんなさい」

と小さくつぶやいた

何も言えない俺に微笑みながら

「これが最後です」

そう言いまた唇を重ねる

抜け殻のような俺の首筋に

唇を這わせ

シャツのボタンをはずしていく

昨夜一人になり

諦める決心がついた

恵の幸せを願おうと

なのに


シャツを脱がされ

指で胸元をなでられる

「智くん、のだめを抱いて下さい」

「恵・・・・・・ごめん」

やっと出た言葉

「何で謝るんですか?」

「もういいんだ・・・・。

 恵は彼と幸せになって。」

「え?」

「俺は本当に恵が好きだ。

 だから、恵には幸せになってほしい・・・・

 俺のわがままで、困らせて悪かった。

 だからもう、こんなことしなくていいんだ」

そう言うと恵は首を大きく横に振り

「のだめが一番悪いんですよ」

そう言い大きな涙を流す

それを指ですくい取り

「本当にごめん」

そう言い強く抱きしめた

どれぐらい時間がたっただろう

恵がそっと俺から離れる

「智くん・・・・ありがとうございます。

 けど・・・・・

 最後に・・・・・もう一度だけ

 智くんを感じたいです。

 だめですか?」

その言葉を聞き

俺は恵を抱きしめキスをし舌をからめる

「ん・・・・」

と息苦しそうに漏れる声

最後・・・・・・・・

恵のすべてを覚えていたい

そう思いながら

恵を感じることに必死になっていた

恵の嘘も見破れずに












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