公演までの間

私と先輩は家を借りることにした

ホテル暮らしも長くなると大変だからと

借りた部屋は

なんとなく

大学時代に住んでいた先輩の部屋に似ていた

懐かしく思いながらも

帰れない日々を思い出し

あの頃からもう一度やり直せたら

って叶わないことを願っていた



一緒に住んで

一緒のベッドでは寝ているが

先輩は私に触れては来ない


ただ抱きしめて眠ってくれる

それでも

時々あの時を思い出し

泣いて目が覚める

体が震えて

うまく息ができなくなる

そんな時も先輩は

優しく私の側に寄り添っていてくれる


それが今の私の安定剤だった



「のだめ

 晩御飯の買い物に行くぞ!」

「ハイ!」

まるであの頃のような生活

先輩の腕にしがみつき

並んで歩く

同じなのに同じではない

そう感じてるのは

私だけではないはず



それでもいい

こうしてまた一からやり直せるのなら

最初っから・・・・・・・



スーパーで買い物中

私はずっと

どこからか視線を感じていた


辺りを見回すが

わからない

「どうした?」

「誰かに見られてるような気がするんデスよね・・・・」

「あー変なやつがいるって見られてんじゃないのか?」

「むきゃーーーーー!それどういう意味ですか???」

「そのまんまだよ!」

「そんな事言うセンパイとは今日一緒に寝てあげませんから」

「あーどうぞどうぞ」

「ホントにホントに一緒に寝ませんよ?」

そう淋しそうな顔で言うと

「ごめんごめん」

と頭をなでられる


また腕を組み歩き出す

幸せな会話

けど私の中には不安の花が

ずっと咲いている




枯れることなくずっと




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