素直にうれしいと思った

その反面怖いとも思った

優しかった智くんが

変貌したように

先輩も

そう思うと怖くて仕方無い

抱きしめられた腕の中

伝わってくる優しさにさえ

戸惑いを隠せないでいた

「やめてください」

「離したらお前いなくなるだろ?」

「・・・・・・・・・・・・・」

「この間みたいにいなくなるんだろ?」

「・・・・・・・・・・・・・」

「本当はずっとお前を誰も傷つけないように

 ここに閉じ込めておきたい

 けど、それじゃお前を傷つけることになる

 俺自身が

 けど、離れたらまたいなくなるだろう?

 俺はどうすればいい?

 お前と一緒にいるために、何をすればいいんだ??」

そう問いかけてくる先輩の声は

切なく

私の胸を締め付ける

「どこにも行きませんから・・・・・・・

 離してください」

「嘘だ」

「嘘つきませんから・・・・・・・

 先輩?のだめの目を見てください」

ひっついていた胸と胸が離れる

そして真っ直ぐと私を見つめる瞳

「先輩のだめは、どこにも行きませんから

 約束します」

そう言うと静かに先輩は離れた



「先輩は本当に何があってものだめを受け入れてくれるんですか?」

「あぁ」

その言葉を聞き

本当の事を話そうと思った

それで離れていくのであれば

先輩ともそれまでだと


「・・・・・・・・・例えば・・・・・のだめが

 智くんとの子供を先輩と育てるって言っても?

 その子供も一緒にのだめの事うけいれてくれるんですか?」

「え・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「お前・・・・・・・・」

青くなる先輩の顔

やっぱり無理なんだ

そう思った瞬間

先輩は私の手をとった

「本当に妊娠してるのか?」

「・・・・・分かりません・・・・・・・けど

 可能性は0%じゃありません

 のだめだってそんなの望んでないんデス

 けど、絶対なんてないですから

 あんなに何回もされて・・・・・・・・・

 嫌だったのに・・・・・・・・・・・・・・・

 やめてって言ったのに・・・・・・・・

 薬も飲んだけどまだわかんないんです」

泣くのを我慢しながらそう言うと

先輩は優しく頭をなで

「泣いていいぞ・・・・・・・

 辛かったな。

 何もしてやれなくてごめん

 でも安心しろ

 もしお前があいつの子供を妊娠していたとしても

 俺はお前から離れないし

 その子供も面倒見てやる。

 お前は何も悪くない。

 な?」

その言葉に涙がこぼれおちる

本心じゃないのかもしれない

けど今は先輩の言葉を信じ

先輩と一緒にいよう・・・・・・・・・・

なにも返せないかもしれないけど

それでも先輩がいいって言ってくれるのであれば・・・・・・・・


嵐が吹き荒れていた心は

いつのまにか優しい雨に変わり

心の中を少しずつ

潤しはじめていた


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