無事二人とも退院して

ギプスも取れた

けど私はピアノに向かえずにいた


痛みはない

けど恐怖がある

前みたいに弾けなかったらどうしよう?

指が思うように動かなかったら?

ちょっとした骨折だった

けど

怖くて仕方無い

リハビリをして指もスムーズに動く

けど怖い

上手に今までのように弾けなかったら

センパイと一緒にいられないような気がして仕方無い




そんな私のそばで

センパイは次の公演に向けての勉強

センパイが悪いわけではない

事故は仕方ないもの

向こうのせいだし

けどけど・・・・・・・

私のように指の心配をしなくていいセンパイが

妬ましくて妬ましくて仕方無い

それに

前みたいにセンパイ・・・・ピアノ弾けとは言わなくなった



まるで私を腫れものみたいに扱う




「センパイ」

「ん?」

「何でもないデス」

言いたくても言えない

センパイにあたれば楽なのかもしれない


けど・・・・・

そうしたらきっとセンパイ自分を責めてしまう

「じゃ行ってくるから」

「ハイ・・・」

そう言い閉まるドア

それをじっと見つめる

「・・・・・・・・・・・」


心の中は笑顔に反して

ドロドロでセンパイに対して

憎しみまでも生まれていた


のだめの指じゃなくて

センパイの指が折れればよかったのに

だってセンパイはピアニストじゃない

指揮者

そんな事じゃないのに

そんな事ばかりを考えてしまう






「どうして・・・・指なんデスか??

 どうして?

 どうして?」


そう言い手をかむ


その痕がいくつも手や腕に残る


その痕をセンパイはしっていて何も言わない


きっとセンパイはセンパイで自分の事

今でも責めているに違いない

「ハァ・・・・・もう・・・一緒にいるのがつらいデス・・・・・」

思わず出た言葉に

自分でもびっくりした



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