早朝

部屋のチャイムが鳴る

「誰だよ・・・・」

ベッドから体を起し

ドアを開けると

「ごめん・・・千秋君こんな早朝から」

「黒木君。」

常識の塊のような黒木君が

アポもなく早朝から訪ねてくるなんて

きっと何かあったんだ

そう思った

「本当にごめんね・・・・

 携帯充電なくなっちゃって。」

部屋に通しソファーに座る

「で?どうしたんだ?」

「え?」

「黒木君がこんな早朝から訪ねてくるなんて

 緊急性がなければ考えられないから」

「あ・・・・・恵ちゃんの事で・・・・・」

「のだめ?」

「うん・・・・

 僕から話していいものかも悩んだんだけど

 千秋君は知っておいた方がいいと思って」

そう言い話し出した内容に

だんだん手に力が入る

なんであいつは

一番に俺を頼ってきてくれなかったんだ

「千秋君・・・・恵ちゃんは『先輩にはこんなのだめ・・・みられたくない』って言ってた

 やっぱり恵ちゃんは千秋君の事好きなんだよ

 今も・・・・・・・・・

 僕はずっと千秋君を好きな恵ちゃんを見てきた

 だから分かるんだ・・・・・・・・・・・・・・」

「あいつは?」

「今ターニャと病院に行ってる。

 暫くはターニャに恵ちゃんの事任せてやって。

 ターニャも後悔してるんだ・・・・

 恵ちゃんに彼との結婚進めたこと」

「・・・・・・・・・・」

「とりあえず恵ちゃんが落ち着くまで

 千秋君は何も知らないことにして欲しいんだ」

「あぁ」

「ごめんね。

 何かあったら必ず連絡するから」

そう言い部屋を後にする黒木君を見送ったあと

俺は自分自身に怒りでいっぱいだった

昨日あのままのだめを連れ帰っていれば

こんな事にならなかった

『明日の早朝から練習したいから』

とでも何とでも言って

連れ出せばよかった

嫌な予感はしていたんだ

なのに

知らないふりをしろ

そんな事できる余裕今の俺にはない

どうしたらいいんだ

出来る事なら

のだめをこの部屋に

閉じ込めて

他の何からも

誰からも傷つける事の出来ないようにしたい


でもそんな事をしてしまったら

俺も

あいつと同じだ


そう言い聞かせるが

手の震えは一向におさまらず

やるせなさと

あいつへの憎しみだけが

心を支配して言った









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