これは賭けだ


この曲で

また二人で音楽を奏でる


そうすれば

のだめは必ず俺の元へと戻ってくる


そう思いながらも

不安で押しつぶされそうになる

こんな気持ちは初めてだ

何度も

もうダメかもと思う気持ちは

経験したが

こんなにも苦しいのは

のだめの指元

指が絡む二つの手には

気付かないふりをした

そこに目が行ってしまうと

きっと

自分の感情がコントロール

出来なくなるから

無理やりあいつから

のだめの手を奪い

そして

のだめを自分の中へと閉じ込めたくなるから


今はただいつものように冷静に

ただそれだけを心掛けていた

「恵をお願いしますね

 千秋さん」

そう言う彼の言葉は

明らかに俺への挑戦状だった

勝つという自信があるのか?


でも俺だってなりふり構ってられない

それより何なんだ

まるでのだめを自分のものかのように・・・

・・・・・・・・・・

現に今は

結婚しているあいつの方が有利だ

けど

俺は

絶対負けない

俺の中に

負けという文字はないから

絶対にのだめと

いい音楽を作って

またあの場所へと戻ってみせる


「のだめ、譜読みだけはしとけよ。

 あと指冷やすなよ。」


そう言い彼の握っている方と反対の手を取り

指先にキスをした

こわばるのだめの顔

そして俺を睨むあいつの顔


「じゃぁな」

そう言い俺はのだめの家を出た

あのキスはあいつへの俺からの挑戦状だ




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