抱きしめられた

ぬくもり

そして

智くんの息遣い

心臓の音





今の私の場所



さっき智くんに

好きです

側にいてほしい

と言ったのに

それが手に入ったとたん

私は

もう一つの手に入らないものを思ってしまう




そんな自分が嫌になる

いっそうの事

二人のもとから

私は消えてしまった方がいいのかもしれない


結局どっちつかずで

きっとセンパイが去ることになったら

先輩を追いかけてしまう




くっついていた体が離れ

私の顔に智くんの手が触れる

私はそっと目を閉じ

唇を受け入れる

そのキスの時間ですら

二人を比べてしまっている




唇が離れると

また強く抱きしめられる


本当に優しい人

私の事を大事にしてくれる



だから


だから





そんな人を裏切ることなんてできるわけない


もう決めなきゃ

智くんと一緒にいるって

自分の言葉と行動に

責任を持たなくっちゃ

心に鍵をかけて

先輩の事はすべてしまい込まなきゃ



もう手の中に入らないものとして


もう自由に思う事も許されない


そんな存在にしなきゃいけない



自分に言い聞かせ

そして一つずつ思い出に鍵をかける


一つずつ

もう二度と先輩を思わないように



もし会っても


智くんが一番だと言えるように







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