何となく始まった付き合いも

半年を迎えたころ

お互いの両親が

「そろそろ・・・」

という言葉を出し始めた

一緒にいても

異国にいる彼を思っている恵


それでもいいと思い

「恵・・・・・結婚しようか?」

「へ??

 智くん?何言ってんですか?」

「恵が今も、彼の事思ってるの分かってる。

 それでいいから、お互い親の為に」

「でも・・・・・」


戸惑う恵を見ながら

自分でも何言ってるんだ?って思った

恵は彼を忘れることはない

きっとずっと俺はそいつを超えれない

分かっているけど、

それでもいいと思った

「彼が、恵の事迎えにくるまでの間

 その間だけでも親たちを安心させてやらないか?」


「ダメですよ・・・そんな気持じゃ結婚なんてできませんよ・・・」


そう断られた


けどそれから3ヶ月後事態は変わる


急に倒れた恵の祖父の

命の火が残り少ないことがわかった

そして恵から

「まだ・・・・あの話は有効デスか?」

と急に尋ねられた

「え?」

さっぱり何の事かわからない俺

「結婚の話です・・・・」

その言葉にビックリした

「あ・・・うん・・・」

「本当にいいんですか?

 先輩ともしまた会えたら

 きっとのだめ、先輩が戻って来いって言ったら

 先輩の所行っちゃいますよ?」

「わかってる」

「じゃ・・・・お願いします」

そう言った恵の目は

遠くにいる彼をいつも思っているときの目ではなかった


恵なりの決心だったんだろう


恵の祖父の容体がいいうちに

俺たちは親族だけで結婚式を挙げた



そして

数日後恵の祖父は亡くなった


泣くことを我慢する恵

その側で支えながら

本当は恵の想い人が

ここで恵を支えてやっていたら

恵はきっと大きな声で泣けたのだろうな・・・・

そう思うと

悔しくてたまらなかった




俺はやっぱり


恵の一番にはなれない


そう思った



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