お見合い当日

福岡市内のレストランで

恵と再会をした

ずっとそっぽを向き

恵は空を見つめていた


「まぁ、とりあえず二人で何か話さんね。」

そう言い俺たちだけを残して部屋を後にする親たち


何も始まらない会話

会う前にその時の恵の事は聞いていた

何の連絡もなく

日本に帰ってきたこと

ピアノを弾かないこと


しばらくの間何も話さなかったこと


フランスに一緒に行っていた彼と別れたこと



今も

きっとあの空で繋がっている

遠い場所にいる元彼の事を思っているのだろう


そう思うと悔しくも思えた


恵がグラスを取ろうと手を伸ばしたとき

手が当たり俺のグラスが倒れてしまう

ガチャンという音が部屋の中に響き渡る

「ギャボ!!」

そう言うと恵は慌てておしぼりで

テーブルを拭く

「ごめんなさい!お洋服汚れませんでしたか??」

久しぶりに聞く声は

昔よりもさらに心地よい

音を奏でていた

「俺は大丈夫。

 そっちは??」

「のだめも大丈夫です」

そう言いながら二人でこぼれたドリンクを片づける


テーブルを拭きながら



「あの・・・・ごめんなさい」


そう小さく恵は言った


「え?」


手が止まる

「のだめお見合いする気なかったんです

 のだめ・・・好きな人がいるので・・・・・・・・」

「それって元彼?」

思わず口に出てしまった言葉にはっとする

「何でシテルンデスカ?」

「何となく親から聞いてて・・・」

「そ・・・デスか・・・・」

「うん」

「じゃ分かってて来てくれたんですか?」

「・うん・・・・」


「そデスか・・。なのでごめんなさい。

 のだめ結婚する気ないんです」

「そっか・・・・

 でその彼とは戻れそうなの??」

そう言うとうつむき首を横に振る



「ならさ・・・・・付き合うだけ付き合ってみない?」

「え?」

「結婚とは別にさ?

 気分転換にお友達感覚で」

「デモ・・・・のだめは・・・・・」



とためらっていた恵

けど結局

親の後押しもあり

俺たちは付き合う事になった


表向きには見せなかったが


大人になった彼女を見て

俺は本当に彼女の事を好きになってしまったんだ













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