真一くんがフランスにもどったあと

私はあのアパートへと戻った

ついこないだまで

真一くんはここにいた

けど私は

その手を離してしまった

自分から

私を探しにここまで来てくれたのに




夕焼けが差し込む窓辺に座り

ボーっと外を眺める


自分だけが傷つく方がよかった

真一くんにまで

同じ思いをさせるんじゃなかった


それが一番の後悔だった









あの日あのあと

私はコウくんの家へと向かった

泣きじゃくっていた私を抱きしめようとする

コウくんの腕を払いのけ

真一くんと別れたこと

でもコウ君とは

付き合えないコト

もう繋がることはないとしても

私には真一君しかいないことを告げた


こぶしを握り

何かに耐えるように

その言葉を聞いていたコウくん


それでも支えになりたいと言ってくれた

でもその言葉に甘えるわけにはいかない


これ以上コウくんのことも傷つけることはできない




そう思いまたここへ戻ってきてしまった





何やっているんだろう?

ここは真一くんのお家なのに


もう・・・・ピアノも辞めなきゃ・・・・・・・・・・




何もかもがなくなってしまった

幸せな時間

大好きな人

大好きなピアノ

それすらもなくなって私はどうしたらいいのだろう



そんなことをボーっと考えながら

時間は過ぎていく

食事は全くのどを通らなくて

このまま私は死んでしまうのではないかと思った

けどそれならそれでいい

このままいなくなってしまえるのであれば

このまま消えてしまおう

そう人魚姫のように

王子様のことを思いながら

泡になってしまえばいいのに


意識が遠のいていく

あぁ・・・・・

本当にこのまま

私がいなくなるのと同じように

全てのことがなくなってしまえばいい

そう思った












けどそんな願いすらも届かなくて

倒れこんでいた私は

病院に運ばれていた

目を覚まし眼に映ったのは

真一くんのお母さん

征子ママだった


「のだめちゃん!!」

そう泣きながら私の手を握る征子ママ


「ど・・・して?」

「雅之さんから聞いて飛んできたのよ・・・・・

 真一と何があったの?

 私はのだめちゃんの味方よ?

 話してくれない?」


そう言い私の頭をなでた


そして泣きながらこれまでの事を

話した

真一くんのお母さんに

こんな事言うのはどうかとも思ったけど

きちんと話さないといけないと思った

「のだめちゃんものだめちゃんだけど・・・・

 真一は本当に雅之さんそっくりなんだから」

そう怒る征子ママ

「大丈夫、私がのだめちゃんのことは守ってあげるから

 あとね・・・・・のだめちゃんの大事な話があるの。

 先生から聞いたんだけど・・・・・・・・・・

 のだめちゃん、今妊娠3カ月だって

 気付いてた?」

「え?」

「やっぱり気づいてなかったのね

 のだめちゃんはどうしたい?

 産みたい?それとも・・・・」

そう言われた私の頭の中は

また真っ白になってしまった







 
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