「おはようございます」


夕べは眠れなかった

「何だ寝てないのか?」

「ハイ。なんか、楽譜見てたら眠れなくて・・・・」

「ふーん。

 お前が楽譜って珍しいな。」

「そですか?最近はちゃんと見てるんですよ!

 デモ、時間かかっちゃって・・・・。

 真一くん今日は一緒にゴハン食べれマスか?」

「ごめん今日も遅くなる」

「ソ・・・デスか・・・・・」

「どうした?」

「イヤ、最近一緒に食べてないから・・・」

「そーだな」


そーだな・・ってそれだけですか?

今日も

今日も彩子さんと食べるんですか?

聞きたいけど聞けない


「じゃ、行ってくる」

「ハイ。いってらっしゃい」

笑顔で見送るが

チャンと笑顔になっていたか不安になる





自分が食べた朝食の後かたずけを終え

ピアノに向かうが

弾けない

頭の中

昨日の二人の姿がチラついて

ピアノを弾くことすらできない



何度、何度

冷静になろうと思っても無理だった

そして


いてもたってもいられなくなり

マルレへと向かった


裏口から入り事務所へと向かう

「あー!!奥さん!

 どうしたの?これ千秋に渡しといて!

 3日も練習休みにするなんて珍しいよね?

 千秋どこか悪いの?」


階段手前で

テオが声をかけてきた

練習休み?

普通に出かけて行ったのに?


「え?・・・・あの・・・その・・・・

 ちょっと急用で・・・」

そう言うと真一君宛ての手紙を渡された

「そっか、じゃ奥さんよろしくね!!」


3日休み?

いつから3日?

じゃ今日は何があって出かけたの?

マルレから少し離れたところで


電話を取り出し

コールする


『アロ』

「真一君?今どこにいるんデスか?」

『え?どこって・・・マルレに決まってるだろ?』

「ウソツキ・・・・・・・」


そう言い電話を切りいっしょに電源も切る



頭の中はぐしゃぐしゃ

心は張り裂けそうで

息もまともにできない


こぼれおちる涙は

それと一緒に私の心まで

流しているように思えた

もう

痛みさえわからない



家までどういう風に帰ったのかもわからないが

家につき

自分の荷物をまとめる




一緒にいれない


テオから預かった手紙の上に

書置きを残して私は部屋を出た











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