「嘘よ・・・・・・」


そう言った彩子の顔は

曇っていた


「彩子?」

「真一の子供が欲しいなんて嘘に決まってるじゃない

 それに知ってるでしょ?私がピル飲んでること?

 今も飲んでるから。

 大丈夫よ・・・安心して

 あの人と付き合ってるとき、素直に言えてたらよかったのにな・・・・・」


そう言いシャワールームに

消えていく彩子の後ろ姿は

小さくて

そして肩が震えていた



どうにかしてやりたいと思った

けど

もうそれすらしてやれない


服を着て

荷物をまとめる

あいつがNYにいるなら

俺が向こうに行って・・・・・・


ちゃんと話さなければいけない

終わらせるなら

終わらせるで

中途半端ではなく

きちんと

そうしないと

あいつも

俺も前には進めない


そして

全て片付けたら


・・・・・・・・・・・・・・



俺は・・・・・・・・・







まだ望んでいるのか?

あいつと過ごす未来を



ふと浮かんだビジョンは

別れではなく

のだめが戻ってきて

またお互い音楽を続けて

そして

ずっと一緒にいることだった



あんなにあいつを傷つけておいて

それでも望んでしまう



また

あいつが許してくれて

俺の元へと戻ってくることを



「真一?どこいくの?」

「あいつのところ

 きちんと話してくる」


そう去ろうとする俺の腰に

彩子が抱きつく

「いかないで・・・・一人にしないで・・・・」


涙声の彩子の腕をほどく


「ごめん・・・・・・」


そう言い俺は部屋を後にした














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