泣いて後悔して

真一君の元へ戻ろうとして

けど

やっぱりできなくて



この一週間はそれだけで過ぎてしまった


頭の片隅に浮かぶ

真一君の顔は

最後に何度も愛された時の顔

嘘をごまかし

そして悲しみがあふれた顔




もう戻れないのに


真一君への思いが胸をたたく

どうして

ただ好きなだけじゃダメだったんだろう

真一君のすべてを自分のものにしておきたかった





彩子さんと真一君が

一緒にいるのが怖かった


だから逃げてしまった


自分を守らなきゃって思ってしまった


もし

もし彩子さんと何にもなかったのだったら

真一君は私のせいで

どれだけ傷ついただろう?

けど絶対二人は・・・・・・


うっすらと残る真一君が自分に付けた痕


それが私の心をまた苦しくさせる





けど・・・・・もう前を見なきゃ



部屋にあるピアノのふたを開ける


あふれ出す思いを

音にぶつける





ピアノソナタ 清掃・・・・・・


二人の思い出の詰まった曲



この曲はもう今日から弾かない


真一君のこと忘れるためにも


楽しかった日々を

これに封印してしまおう


涙がこぼれて鍵盤に落ちる


けど私は一心不乱に弾き続けた














翌朝

私はホテルを後にした


前にオクレール先生に紹介していただいた


先生の元へと旅立つために



パリをあとにした





飛行機の中から見えるパリの景色は

涙で滲んでよく見えなかった


思い出しかないこの街から

私は逃げ出した













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