あの日から


真一からは連絡はない


私が連絡をしても


電話にも出てくれない





解ってはいたけど・・・・・・





真一のマンションに足が行き

扉の前に立ち尽くした


深く深呼吸をして

扉を軽くノックするが

やっぱり返事はない


あきらめて帰ろうかとも思ったが

手はドアノブに伸び

扉を開いた

相変わらず不用心・・・・・



「真一?」

そう声をあげ

部屋の中へと進む



一番奥の部屋の

真っ赤なソファーに座る真一は


ただ一点


ピアノを見つめていた



「真一!!」

今までよりも声を張り上げて彼を呼んだ



「あ・・・彩子」


彼らしくない姿に

戸惑いを覚える

そんなにあの子が愛おしいの?

そんなにあの子がいなくなったのが悲しいの?

私がいなくなっても平気だったくせに



そう心の中で思っていても

彼には吐き出せない




「真一どうしたの?」

隣に座り彼の手を握る



「俺・・・・・

 あいつはもう絶対俺の元を離れないって思ってた。

 俺があいつに『別れるか?』って聞いた時

 目をそらして『ソースればいいんじゃないデスか?』って言ったんだ」


「?」

「あいつは嘘つくとき絶対に目をそらす。

 だから別れないって意味だと思っていた・・・・・

 けど本当にいなくなるなんて・・・」


そう言い頭を抱える



こんな真一は見たこと無い


それに


あの子の癖

なんでわかるの?


私の癖なんて一つも

気付かなかったくせに・・・・・

嫉妬する心を押さえながら

「真一・・・・」

そう言い私は真一を強く抱きしめた

そしてそっと顔をあげた彼にキスをする


「真一が立ち直るまで私が側にいるわ」


そう言いまた真一の唇へ自分の唇をかさなた


無気力な彼は私のされるがままだった




彼の首元にキスをする

そのとき

真一はかすかな声で

「俺・・・・・音楽辞める・・・・・」


と言った


「え?」

耳を疑い聞き直す


「俺音楽辞める」

「真一?」

「あいつの音が聞こえなくなるのは嫌だ

 おれが音楽を続けるときっとあいつは、この世界からいなくなる

 おれを避けるように

 だから、俺が音楽をやめる

 あいつの音を、音楽をずっと聴いていられるように」


真一の胸元を這わせていた指が止まる



私はどんなに頑張っても

あの子には勝てないことを

思い知らされてしまった



けど

今側にいるのは私・・・・・・



真一の唇をなぞる



「今は黙って・・・・」


そう言い唇をまた重ねながら


私は自分の服を脱ぎ捨てた


そして彼の服を脱がし


身動きしない真一を愛撫し続けた


こうして今は

私が真一の側にるという事実を作ればいい


こうして少しずつ


小さな痕をつけて

そしていつか私の側を離れられなくなればいい


少しずつ


ほんの少しずつでいいから


口の中で大きくなった

彼自身を自分の中に

そっと収める

そして


彼の代わりに


腰を動かし

彼に快感を与えて行った



無意識のうちに

私の中で果てるように





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