「ごめん・・・・」


そっと唇が離れて

まだまつげがぶつかりそうな位置で

黒木君はつぶやいた

何も言えず

視線だけがぶつかりあう

そして静かに目をそらし

そっと私の元を離れ

部屋を出て行った




力が抜けて

ベッドに座りこむ


何故受け入れたのかわからない

センパイが好きなのに




センパイの腕の感触

そして黒木君の・・・・・

両方の感覚が私を襲う



けど

嫌ではなかった





グーーーーー



こんな時も私のお腹は正直で

お腹が空いたと合図を送る


服を着替えてレストランに行くと


皆がいた


「おーのだめ」

お酒が入り容器になりつつある峰君


いつもなら普通にその場に入れるのに

足が止まる



さっきの事がよみがえる


「のだめ」

私の様子がおかしいと気付いたのか

センパイが私の方へと近づき

手首をつかむ

「大丈夫か?」

小さくうなずく

「ちょっと外に出よう。

 おい!峰!のだめ気分悪いみたいだから

 ちょっと外に行ってくる!」


「おー!」

大きく手を振る峰君の隣に座る黒木君

黒木君は一度もこっちを見なかった



その映像だけが焼きつく












手首は握られたまま

駐車場にへと連れてこられ

レンタカーへと乗せられた


何も言わずエンジンをかけ

そして車は走り出す

薄暗い中着いたのは

底名溜池展望台


車から降ろされ

そしてまた手首をもたれ歩き出す

足元を懐中電灯で照らしながら



「のだめ見てみろ」

歩みを止め見上げた空には

怖いぐらいに綺麗に星が瞬いていた


「わーー!キレイ!!

 センパイすごくきれい」


そうはしゃぐ私を見て

安心したような表情を見せた

「よかった・・・・」


そう言い私に微笑みかける

握られていた手首から指は離れ

私の指と繋がれていた












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