のだめが俺の手を振りほどく
鞄の中から紙とボールペンを出し書き出す
[彩子さんの側にいてあげてください]
「けどもうあいつは、日本に帰るんだし・・・・」
[だからですよ]
「のだめ?」
[真一くんは本当にバカですね
今彩子さんがどんな気持ちなのか考えてください
のだめはお家で待ってますから]
彩子の気持ち・・・・・
俺はもう二度と彩子は
俺の顔なんて見たくないと思うが
違うのか???
ポンと背中を押される
振り向くとのだめは手を振り歩き出していた
戻って彩子に何を話せばいいんだ
もう俺にはしてやれることなんてないのに
病室の前足が止まる
どうすればいいのかわからない
行ってどうなる?
余計に彩子を傷つけるだけじゃないのか?
そう考えていると病室のドアが開く
彩子が驚いた顔で立っていた
「真一?どうしたの?忘れ物?」
「いや・・・・せめて、空港まで送ろうって思って」
彩子はそう言うとプっと笑い
「あの子が行けって言ったんでしょ?
真一はそんなに気が回らないもの・・・・・
でも、ありがとう。
もう空港に向かうの、荷物手伝ってくれない?」
そう言われ俺は彩子の荷物を持つ
無言でタクシー乗り場まで行き荷物を載せ乗り込む
何を話せばいいのか
どうしたらいいのか
俺には全くわからない
「真一・・・・・」
「ん?」
「あなた本当に変わったわね。
私たちが高校・大学と付き合っていたころと。
あの子のおかげかしら?
私・・・・・本当はずっと真一の事忘れられなかったのよ。
ずっと。
けどやっと卒業できそう。
私日本に帰ったら、もう一度頑張るからいつか私の立つ舞台のオケで指揮してね。」
「あぁ」
「きっといつまでも私にとって真一は特別な人だから」
「彩子・・・・・・・・・」
空港につき荷物を預け
チェックインの手続きをし
ゲートへと彩子は入っていく
「真一・・・ありがとう」
そう言い後ろを向き歩き出す彩子が
振り返り俺のところに歩み寄る
「真一・・・・幸せになって
私も幸せになるから
Je t'aime pour toujours.」
そう言い俺に抱きつき
彩子は唇を俺の唇に重ねる
そっと離れる唇
うつむく彩子の頬に涙があるのがわかった
「彩子」
思わず腕をとるが
その腕は俺の指からすり抜けて
歩き出した
風のようにすり抜けて
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