与えられた部屋は
マンハッタンから少し離れた
ブルックリンにある
3階建てのお家
私ひとりには広すぎる部屋からは
微かに
三善のおうちと同じ匂いがした
それがまた私の心を揺さぶる
真一くん・・・会いたい・・・
もうダメだって思っているのに
心は真一くんのところへ置いてきてしまったようで
ずっと考えてしまう
女は別れたらあっという間に忘れてしまう
なんていうけどそんなコトない
本当に好きだから
忘れられない
いつもいつも忘れなきゃって思ってしまう
でも
私はきっとまだ離れたばかりだから
だからそう思ってしまうのかもしれない
彩子さんは?
彩子さんは
もしかしたらあれからもずっと真一君のことを?
もしそうなら
真一君に会いにフランスに来たんデスか?
ため息がこぼれおちる
「それじゃ・・・のだめなんて全然かなわないじゃないデスか・・・・」
真一くんの言い訳を聞かずに逃げ出した私と
真一くんを追ってフランスにきた彩子さん
勝ち負けなんてホントはないけど
負けたって思ってしまう
今もきっと二人一緒にいるんだろうな
のだめのことなんか忘れて
きっと真一くんは彩子さんと・・・・・・・
駆け巡るのはそんなことばかりで
ピアノも弾けない
何もする気になれない
シーツにくるまり
妄想だけを働かせて
勝手に傷つき
勝手に泣いて
ますます真一くんを忘れられなくさせていた
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