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のだめの体調は
つわりのせいで、悪くなるばかりだった

倒れる事はあれからはないが

食事はほとんど出来ず
ベッドにいることが多かった

「つわりってこんなに辛いんデスね
けど、なんか幸せデス」


とのだめは真一に笑顔で言った

でも
心の中は複雑だった

真一を信じきれない自分が
真一と一緒にいていいのか?

そして
本当に真一は赤ちゃんの事
喜んでくれてるのか


そしてそんな気持ちを
必死に隠すことに疲れていた

真一がいないときは
いつも泣いていた

全てが不安で仕方なかった


そんなとき
また真一のNY 公演が決まった

前回
シュトレーゼマンが真一の代振りをしたオケだ


のだめの事を考えると断りたいが

これから家族が増える事を考えると

断ることが出来なかった


「のだめ
またNY で指揮することになった」


そうのだめに伝えると
のだめは涙がをボロボロと流しながら

『イヤデス』

と何度も真一に言った

それは叶わないことだとわかっていたが

心のコントロールが出来なかった

そんなのだめを真一は

かわいいと思った

のだめはなんだかんだ言って

今まで真一のすることに

泣いてひき止めたりすることはなかった

三善のアパルトメンを離れたときも

Ruiとの共演のときも

嫌であっても『仕方ないこと』

と言って送り出してくれていた

けど
今回は素直な気持ちを出してくれている

それが可愛く
愛しくて仕方なかった


真一はせめて
のだめを連れてNY に行きたいと思ったが

のだめの体調を考えると無理だった

のだめだけでなく
のだめの中にいる子供の事を考えると
余計に一緒に連れていく事は
出来なかったのだ


のだめに話してから数日後
真一はNY へと向けて旅立つ

毎日の電話を約束して
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