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「お待たせしました」

と言い車に乗り込んできたのだめは


薄いピンクのワンピースに

赤いカーディガン

真っ白なブーツには
ファーがついていて
髪からは甘い臭いがした

「どしたデスか?」


「なんでもない」


いつもと違うのだめに
思わず“カワイイ”と思ってしまった

車を走らせはじめ
暫くの沈黙が続いた

重い空気が張り詰める

その空気を破ったのはのだめだった

「先輩・・・・
すみません・・・・」


「何が?」


「送ってもらって・・・・」


「別に・・・・
ってか、お前彼氏いたんだ。」


「えっ・・・はい」

「どれぐらい付き合ってたんだ?」


「えっと高1の5月から、高2の8月までデス。」


「ふーん」

一年も付き合ってたのか・・・・

「先輩は・・・・
先輩はサイコさんとどれぐらい付き合ってたんですか?」

「高1の終わりごろからだったかな?」


「そんなに長く・・・・・・」


と言いショボンとする


「先輩?」

「ん?」


「サイコさんの事、そんなに長く付き合ってたら、やっぱり忘れられませんか?」


「いい思い出ではあるけど、それだけだな。
お前は“コウくん”の事忘れられないの?」


「忘れられないと言うか、何なんですかね?
いい思い出なんデスよ。
でもやっぱり特別な人デス。
沢山のはじめてを沢山くれた人デスから・・・・・」

沢山のはじめて・・・・

その言葉が胸に突き刺さる

俺は今まで彼氏なんかのだめにはいなかった
って勝手に思い込んでいた

けどこいつには
俺より前に好きな奴がいて
付き合っていて

ましてや・・・・・

「ふーん
で、なんで別れたんだ?」


「コウくんの留学が決まって、5年ぐらい帰ってこないって言われて、それで」


「じゃ嫌いになって別れたんじゃないんだ」


「・・・・はい。」


「じゃまた付き合えば?あーでも遠距離恋愛かぁ」


そう言うと
のだめはポロポロと涙を流しはじめた


「なんで・・・
先輩のだめが先輩のコト好きって知ってますよね?
なのに、なんね! なんでそんな事言うと?」


その言葉に俺は答える事が出来なかった


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