「先輩・・・・・」
全ての思考回路が停止する
どうしてここにいるんですか?
周りの音はシャットアウトされ
何も聞こえない
「響、花音。
ママお熱があるから二人は外で遊んできなさい。」
「ハーイパパ」
手をつなぎ駈け出す2人
近づいてくる先輩
私のベッドに腰掛け
何も言わず私を抱きしめた
「ごめんのだめ・・・・」
それだけを言い
少しずつ戻ってくる音
感覚
そして先輩の匂い
「ど・・・・どうして先輩が謝るんですか?」
やっと出た言葉
悪いのは私
勝手に先輩の元を離れて
勝手に子供を産んで
「大変だっただろ?
ありがとう・・・・・・・・・
二人を育ててくれて。」
そう言われたとたん
涙が溢れる
「どうして?
のだめが勝手に・・・・」
「今度こそ、結婚しよう。
響と花音の為にも・・・・・・」
「でも・・・・・・」
「正直びっくりしてる
最初は怒ってもいた
いきなりパパって言われて
秘密にされていて
お前は何やってんだって!って怒鳴りそうになったけど
お前を見たとたん、どうでもよくなった。」
「?」
「やっと、元に戻れるって思ったから」
「先輩?」
「返事は?」
「本当にいいんですか?」
「うん。」
「怒ってませんか?」
「うん」
「嫌じゃないんですか?」
「うん」
「先輩・・・・・大好きです!やっぱり・・・・・」
私は子供みたいに大きな声で泣いた
本当は辛かったし大変だった
「どうしてひーくと、花音ちゃんのパパは帰ってこないの?」
「いつになったら会えるの?」
って子供たちに聞かれるたびに
心が折れそうになっていたから・・・・・・
「先輩。よろしくお願いします」
そう言うと左手にリングをはめられる
「あの時の?」
「あぁ」
その指輪は先輩の家を出る時に置いて言った指輪だった
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