「のだめ、今日は仕事で遅くなるから、ターニャ達とご飯食べろ」


「今日も遅くなるんですか?」


「ああ・・・・・・」

「そデスか・・・・・。
 わかりました、頑張ってきてくださいね!」



この頃先輩は毎日遅くまで仕事でマルレに残っている。

ホントは一緒にご飯食べたいデスけど、先輩の負担にはなりたくないから

『待ってますヨ』


とは言えなかった。


忙しそうに身支度を整えて玄関へ向かう先輩の背中に飛びつく。


「充電・・・・・・」


いつもならそんなの関係なくスタスタと歩きだすのに

今日はギュって抱きしめてくれた・・・・・・


先輩も寂しいんデスか?ね・・・・・・


それとも・・・・・・・


頭の中がモヤモヤする。

ターニャが前に


『男がいつもより優しいのは、何かヤマシイことがあるから』


と言っていたのをふと思い出したから・・・・・・


「先輩に限って・・・・・・」



「ん?」


「あっ!何にもナイデスよ。
 先輩いってらっしゃい・・・・・」


そう言い見送った。


夜・・・・・

ターニャと黒木君とフランクでいつもとは違うところへ食べに行こうという話になり


黒木君がマルレの人に教えてもらった店に行くことになった。


「恵ちゃん日本でのリサイタル決まったんだってね。」

「ホエ?何で黒木君知ってるんデスか?」

「千秋くんが自分のことのように嬉しそうに話してたから」

「アヘーーーーのだめ、愛されてますね。」

と顔がにやける

「あっ!ねぇ黒木君、最近先輩変じゃないデスか?」

「えっ?いつもと変わらないよ・・・」

「そデスか?」

「何のだめ、千秋と何かあったの?」

とターニャが聞いてきた・・・・

「そんな事ないんデスけど・・・・・
 なんか今日の朝、やさしかったんデスよね・・・・
 いつも以上に・・・・・・・」

そんな話をしてると

「千秋!ココ」

その声にのだめが振り向く

「ごめん待たせて・・・」

Ruiの座るテーブルに駆け寄る

「先輩・・・・・」

異様な空気に気づいた黒木君が

「声掛けようか?」

とのだめに問いかけたが

のだめは笑顔で

「先輩遅くなるって、仕事で・・・・・・
 きっと音楽のことでRuiと話があるんデスよ
 これもきっと指揮者としての仕事デス。
 大丈夫・・・・・・
 お仕事デスから、声かけちゃ悪いんで・・・・

 あっ!のだめ今日中に譜読みしなきゃいけないのがあったんデシタ。
 先に返りますね」


そう言うとそそくさと

店を出た


「のだめRuiがからむとダメなのよね・・・・」

ターニャが走り去るのだめを見ながらつぶやく



家まで走って帰っり

荒れた呼吸を整えメールを送る


『今ドコにいますか?
 帰りは何時頃ですか?』


と送り返ってきた答えは


『今まだマルレの事務所。
 もうすぐ帰るから』


頭が真っ白になる

何でウソつくんデスか?

『わかりました
 のだめ眠いので寝ちゃってたらゴメンナサイ』


そうメールを返すと


電源を切りそっと電話をふせた

「ウソつき・・・・・」

そしてベットへと埋もれた。

先輩が帰ってきたのも分かってたけど

寝たふりをした

翌朝も先輩はいつもと同じ

それが益々黒い気持ちを増やしていく


先輩より早く家を出て

レッスンを受けるが全然ダメで

ヨーダに『今日はもうやめておきましょう』

と言われいつもより早く帰ることになった

公園でぼーーーとしていると


「変態ちゃん」

と頭の上から声がした

「ぎゃぼーーーーー松田さん!」

「そうしたの?元気ないね
 千秋となんかあった?」

「そんな事ナイですよ」

と目をそらし言うと

「何かあったんだ!」

「何にもナイですよ!
 ただ・・・ちょっと先輩がのだめにウソついただけデス・・・・」

「なになに?
 話してみなよ」

「なんか、楽しんでません?」

「そんなことないよー。」


そう言われぼそりと昨日のことを話した

「じゃ、変態ちゃん千秋に復讐してやったらいいんじゃない?」

「復讐って・・・・・」

「まぁ俺に任せろって」


そう言い松田さんは悪い笑顔を見せた





『真一くんへ

のだめ嘘つく真一くんなんて大嫌いデス。

家出します! 』


ととりあえずメールをして

1,2日分の荷物を持ち松田さんの車へ乗り込んだ


「のだめあなたと一緒の部屋は嫌デスよ!」

「大丈夫だって、俺変態は好みじゃないから」

「むきゃーーーーーー!
 あなたに変態なんて言われたくないです!」

「アハハハハハハ。
 ちゃんと別の部屋だから安心しなよ。変態ちゃん」

ムスーーーと口に空気を含み膨らませてるのだめを見てまた笑いだす。

「まとりあえず、おいしいものでも食べて千秋の反応見てみようよ」

「おいしいもの?」

「そ!おいしいもの」


「むきゃーーーーーありがとうございます。
 案外いい人なんですね?」

「案外じゃなくて俺はいい人だ」











レストランにつき『好きなもの食べていいよ』

の言葉にのだめは目を輝かせながら

ワインに肉魚・・・・・・

いろんなものを口に入れていく

とうとうワインを3本2人で開けたころには

ヘロヘロに酔っ払い松田さんの肩にもたれかかっていた

「では仕上げと行きますか・・・・」

わざと周りの風景が映るように写メを撮りメールを送った


『きょうは君の変態ちゃんと、デートさせてもらってるよ
なかなか可愛いよね。胸も大っきいし!
君も浮気したみたいだし、変態ちゃんお持ち帰りしても
責める資格ないよね』

と・・・・・・・


「さーて君の王子様は来てくれるのかな?」

と自分の方にもたれるのだめの頭をなでながらつぶやく


しばらくすると

すごい勢いで店に入ってくる男に気が付き
「よかったね」

そう言いのだめの頭にキスをする


「のだめ!帰るぞ」

その声と腕を引っ張られ目が覚める

「なんだもう、場所わかっちゃったの?」

怖い顔をした先輩がいた


「のだめはかえりまセン!
離してください!」


と手を思いっきり払いのけると

机の上にバンと先輩はお金を置き

次の瞬間のだめは先輩に抱えられていた

「離してください!」

と背中をバンバン叩きながら暴れ必死に抵抗したけど無理で

車に乗せられていた


とあるカフェの前で車はとまり

先輩に連れられ車を降りる

そして向こうの方からRuiが走り寄ってきた



その姿をみてのだめは逃げ出そうとしたが

先輩がしっかりと手を繋いでいた為逃げる事ができなかった。

涙があふれてくる

「のだめ?」

涙をぬぐいながらかすれる声で必死に

「別れ話なら、RUIがいないところで聞きマス」

「誰が別れるなんて行った?」

「この状況でそれ以外になにがあるんデスか?」

走りよって来たRUIが息を切らせながら

「のだめさん、ごめんなさい!
昨日は千秋に、フランクの事で相談にのってもらってたの」


「へ?フランク?」

流れていた涙が止まる

「実はね、私フランクの事好きになっちゃって

千秋に相談にのってもらってたの。

でね、千秋のおかげで今日告白して付き合う事になったんだ」


「そーいうこと」

「じゃ!なんで先輩嘘つくんデスか?
仕事だなんで、、、、、」

「お前が、ヤキモチやくから」

「のだめさん本当にごめんね。
のだめさんの気持ちも考えずに!」

そう言いRUIはフランクが待ってるからと

足早に去って行った

「のだめごめん。
嘘ついて。
もう嘘つかないから」


本当に申し訳なさそうに謝罪する先輩を見て



「わかりました。
今回だけデスよ!
次はありませんカラね」



ホッとしたような先輩の横顔を見て微笑んだ















 
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