「どうして逃げる?」

「逃げてなんかいませんヨ?

 どうして・・・のだめが逃げないといけないんデスか?

 真一君こそ彩子さんとナニしてるんデスか?

 のだめが何にも知らないとでも思ってんデスか?」

「とりあえず、部屋で話そう?」

「部屋って彩子さんと一緒に過ごしてた部屋デスか?」

「・・・・・・・・」

「ほら?言い返せない・・・・・

 だったらそう言うことでしょ?

 のだめは何にも知らず自分の帰りを待ってるって思ったんデスか?

 のだめはそんなお人よしでも、バカでもありませんから・・・・」



そう言うのと同時に


エレベーターが到着する

素早く私は降り

自分の部屋へと向かい

ドアを開け入り閉める

その手よりも早く真一君はドアを開け

私の部屋に入ってきた

唇が触れる

気持ち悪い・・・・・そう思い

おもっきり真一君の唇をかんだ

「おまえ・・・・・・・・」

「何すんですか?気持ち悪い!!

 彩子さんに触れた唇で!!!!!」

「・・・・・俺は彩子の悩みを聞いていただけだ。」

「悩みを聞くのにわざわざ部屋に行く必要があるんデスか?

 それだけなら、のだめにだって話せるでしょ?」


「それは・・・・プライベートなことだから、彩子にとって」


「じゃその事で私たちがこんなことになってるのに?

 それよりも彩子さんのことが大事なんデスね?」


「大事とかじゃなくて・・・・・」


「話したくないデス・・・・・。

 のだめにとって、彩子さんと二人で同じ部屋にいたコト

 それに嘘までついて一緒にいたことは、裏切り以外何物でもないデスから」

「・・・・・・・・・・・・・・

 じゃ、別れるか?

 おれは自分の友人の悩みを聞くこともできないなら・・・・・・」


一番聞きたくない言葉がでる

けど

もう後には引けない


「ソースればいいんじゃないデスか?

 女の人と一緒に同じ部屋に二人っきりでいるのを許せるほど

 のだめは寛大じゃありまセンし・・・・・」


「わかった」


その言葉と同時に

扉が開く音と

閉まる音が部屋をこだまする


この扉が閉まったら

もうおしまい


わかっていても


動くことはできなかった













結局は


私の存在なんて真一君にとって


意味のないことだったように思えた







自分を一番に考えてほしい

そうは思わない

けど

せめて

不安にだけはさせないで欲しかった


でも

もうその言葉も遅い





静まり返った部屋は

時計の針だけを動かしながらも


私の心の時計だけを止めていた


色のあった世界は

モノクロになり

音もなく


ただ闇の中にいるようだった





いつまでも抜け出せない闇が

時間を止め私を支配していった









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